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2017年12月23日(土)


【調査レポート】ライフスタイル系キュレーションECサイトの動向


1. ライフスタイル系キュレーションECサイトとは何か

キュレーションとは、インターネット上の情報を収集しまとめること、あるいは、収集した情報を分類し、つなぎ合わせることで新しい価値を持たせて共有することを指す。 展覧会を企画する専門的な職業であるキュレーター(Curator)から派生した言葉だが、いまではWeb上のコンテンツを特定のテーマに沿って集めるプロセスそのものを指すようになり、インターネットの世界には有象無象のキュレーションサイトが氾濫している。 その中で、今回フォーカスしたいのが、モノを売るECとしてのライフスタイル系キュレーションサイトだ。 あまたあるECサイトとの違いを挙げてみよう。
  1. 小さくても個性ある自社ブランドを持っている
  2. プロフェッショナルな技術、社歴、商品を今のテイスト・デザインへ展開している
  3. ストーリーのある商品に絞っている
  4. PBとして販路別オリジナル化が可能なブランドを扱っている
  5. 独自のメディアを発行し、物販(モノ)だけではなく、モノをどう使うかというコト情報も積極的に発信している
個性があり、現代のライフスタイルに合ったテイストやデザインを備え、背景に商品開発のストーリーが見える商品をピックアップし、他の販路との差別化を図り価格を維持するためにPB商品も扱っている。そして、コンテンツマーケティング(読者にとって有益な情報を発信することで新規客の開拓につなげるマーケティング)も強化している。これらがいま脚光を浴びているライフスタイル系キュレーションECサイトの特徴である。
2. ライフスタイル系キュレーションサイトの現況

ここで、代表的なライフスタイル系キュレーションECサイトを挙げてみよう。 代表格といえるのが、「北欧、暮らしの道具」店だ。月間1600万PV、インスタグラムのフォロワー数50万人を超える「北欧、暮らしの道具」店の特徴は以下の通りだ。
  1. 魅力的な道具のある暮らしを提案
  2. 北欧テイストやデザインの商品をクローズアップ
  3. 商品の使い方や機能、独自性を丁寧に紹介
  4. ECサイト自体がメディア化
  5. メールマガジンやSNSの積極的な活用
商品については、イッタラ、アラビア、ロールストランド、アルメダールス、マリメッコといった北欧発のブランドを中心に販売しており、決して独自性が際立って高いわけではない。他のECサイトやショップでも同様の商品をメインに扱っているところはいくつもある。 しかし、「北欧、暮らしの道具」店は物販に終始している他の店とは異なり、主役はあくまで「暮らし」そのものだ。北欧発の道具を使って生活をいかに快適に演出するかに力点が置かれている。 そのために活用されているのが、メールマガジンでありSNSである。メールマガジン「クラシ通信」では、新しく発売する商品の情報に加えて、取り扱いブランドのサイドストーリーや開発秘話、商品の利用方法の実例紹介などにも力を入れている。 LINEやインスタグラムなどのSNSも駆使し、趣のある美しい写真を投稿している点にも注目したい。「北欧、暮らしの道具」の商品を生活に取り入れれば、どんな暮らしを送ることができるのかを、読み物とビジュアルの両面で、読者に訴求しているのである。 これは、やはり人気の高いライフスタイル系ECキュレーションサイトである「藤巻百貨店」や「スタイルストア」「ZUTTO」にも共通する点だ。 「藤巻百貨店」は、元伊勢丹の名物バイヤーとして知られていた故・藤巻幸大さんによるプロデュースで立ち上がったEコマースサイト。衣食住にわたり、一流の目利きが選ぶ極上の品を丁寧な商品紹介とともに販売しているセレクトショップであり、「スタイルストア」は、暮らしに関わる選りすぐりの商品をバイヤーや様々な目利きの人達が厳選し、紹介している。「ZUTTO」は、その名の通り「ずっと使いたくなる」商品、使うたびに愛着が深まり、長く使いたいと思える商品をセレクトしている。 こうしたライフスタイル系ECキュレーションサイトにリピーターが多いのは、ブレのない商品セレクトの視点と、「なぜその商品をセレクトしたのか」が如実に伝わる読み物のクオリティが安定しているからだろう。モノをただ買えるだけではなく、モノを選ぶプロセスや使う過程、使った後の暮らしの変化といった「コト」に関する情報が充実しているのが、読者をひきつけて離さない要因といえる。
3. 化粧品の可能性

ライフスタイル系ECキュレーションサイトでは、現状、化粧品の扱いは決して多いとは言えない。 しかし、ヘアケア製品、クレンジングオイルなどのスキンケア化粧品、バスセットなどを扱いは徐々に増えてきている。「きれいになる」というよりも、「生活を楽しむ」目的で使用される化粧品は、特定のライフスタイルや価値観をアピールするサイトに馴染みやすいからだ。 派手さはないけれど、完成に至るまでのストーリーが面白い、個性的な素材を使っている、それらを使うことで生活がより楽しく変わる。そうした要素を備えた化粧品が、扱い商品のカテゴリーを拡大しているライフスタイル系キュレ-ションECサイトに導入される機会は今後高まっていくのではないだろうか。 仕入れ商品だけでは独自性を高めることが難しいことから、PB商品の扱いを増やすサイトも増えている。PB化粧品が登場する可能性も今後は高そうだ。