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【調査レポート】世界規模で活発化する化粧品ブランドのM&A

2019年01月09日(水)


1. グローバル企業の動きと狙い

いま世界の化粧品市場では人気ブランドのM&Aが相次いでいる。活発な買収劇 の演じ手は世界的な企業。フランスのL、スイスのU、日用品メーカーのPとい った顔触れだ。
では、どこがどのような企業を傘下に収めているのだろう。
1909年に創業。すでに世界約140カ国に進出を果たし、日本でも高い人気を得 ているフランスのLは、これまでにもフランスのYや日本の代表的なメイクアッ プアーティストブランドSを買収するなど、積極的にその規模を拡大してきた。
その勢いはとどまるところを知らず、2018年にはいってからは、Instagramで 絶大な人気を得ているブランドを擁する韓国のNを推計3.7億ドル(約410億円) で買収した。このブランドは韓国のみならずタイや中国でも多くのファンを持 ち、東京にも直営店を開いている。コスメ好きの女子高生の支持を集める「知 る人ぞ知る」ブランドだ。
これまでにもフランスのL、アメリカのMやHやKやR、イタリアのJを手中に収 めるなど、全方位で顧客を開拓したいLにとって、韓国のNの買収はやや手薄と されてきた若い世代を取り込む戦略の一端といえるだろう。
イタリアのスキンケアブランドのEを買収したのは、スイスに拠点を置くグロ ーバル企業のUだ。日用品メーカーのPもやはりアメリカのブランドFを買収し た。このブランドFは、お肌に悩みを抱えた人をターゲットとするスキンケア ブランド。まだメジャーではないが、日本でもニッチな人気を得ている。
ワールドワイドに事業を展開する大手企業がまだ売上規模がそう多くないブラ ンドを積極的に取り込むのは、自らの事業領域を広く確かなものにするためだ。
1. 手薄のカテゴリー
2. まだ未進出、あるいはシェアが低い地域
3. 新規チャネル、もしくは取り込みきれていないチャネル
これらを開拓するための効率的で合理的な方法がブランドのM&Aなのである。


2. ベンチャーの技術を活かす

次に日本の化粧品会社の動きを追ってみよう。
最大手のS社のアメリカ地域本社は、人口皮膚の形成技術を持つアメリカのブ ランドOを新たに傘下に収めた。
Oは、人工皮膚を開発する「セカンドスキン」事業を展開しているベンチャー 企業。2005年に設立し、ポリマーベースのクリームの上に専用の乳液を重ねて 塗ると肌と一体化し、さらには凸凹までも修正する人工皮膚の特許技術を持っ ている。
Sは2020年に向けた中長期戦略を達成するため、いまこうした際立ったテクノ ロジーを有する企業の買収を積極的に進めている最中だ。すでに、スマートフ ォンのアプリによる肌色測定で一人一人の肌色に合ったファンデーションを提 供するM、AIを応用したパーソナライゼーション技術を開発しているGもグルー プに加わった。
アメリカのコスメブランドBの買収では事業を軌道に乗せることができず、多 額な損失を出すなど、M&Aではあまり成功例のないS社が、手にした画期的な 技術をどのように化粧品事業に反映させていくのか注目されよう。


3. 国内でも進むM&A

S社以外の国内の動きを見てみよう。
大手のK社は、業務用の大手ヘアケア製品メーカーのMと資本業務提携を交わし た。これは美容室向けの化粧品の開発を進めていくための布石である。
OEM供給を手がけてきたインドネシア第4位の製薬会社Fを買収したのは、訪販 通販化粧品のN。技術提供を続けてきたF社のグループ入りは、インドネシアを 始め東南アジア地域でのビジネス拡大が狙いだ。
ドクターズコスメのパイオニアとされるブランドDを擁するSは、2年前に美容 サロンを展開するSを買収し、さらに薬や医療機器を手がけるグローバル企業 のJと資本業務提携を結んでいる。後者の買収では、Jのシンガポール法人にブ ランドDのライセンスを供与した。アジアを中心にブランドの知名度や普及を 進めるためのこの取り組みは着実な成果をあげているようだ。
化粧品の大手口コミサイトAを運営するCは、富山県を拠点とする化粧品販売会 社のKと資本業務提携している。地域密着型で販売力を高めてきたKのノウハウ を使って、自らが展開する直営店の運営に活かすと同時に、KはCの保有するマ ーケティングデータを駆使してさらに販売力を高めるのが買収の目的である。


4. アパレルが化粧品会社を買収する狙い

アパレルの世界でも化粧品のM&Aが続いている。百貨店を主なチャネルとする 大手アパレルのOは、アメリカのオーガニック化粧品会社のIと、Iの日本での 販売会社を買収し、Iの製品を自社サイトと会員制の組織の中で消費者に直接 販売している。
ダンス用品やペット服、自転車店などを次々に買収してきたOは女性のライフ スタイル全般で事業の多角化を進め、メインのファッション事業との相乗効果 を高めていく計画なのだ。
イスラエル発の自然派コスメブランドLを買収したのは、大手アパレルのT。自 社のアパレルブランドの顧客層とLのファンが重なることから、O同様にファッ ション事業との相乗効果を図っている。
このように、固定ファンを持つ化粧品ブランドは女性客を囲い込みたい企業か らM&Aの対象として熱く注目されている。今後もこの動きが衰えることはない だろう。
ただしすべてが成功するとは限らない。傘下に収めたブランドの個性や魅力を 生かせず、結局は市場から撤退したり、ブランドを手放すという事例はよく見 られるからだ。
買収したブランドを活かすも殺すも、自らの事業戦略の中にそのブランドをど のように位置づけ、発展させていくのかという明確なビジョン次第。今後も化 粧品業界のM&Aの動きには注目したい。

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